日本の製造業が世界に打ち勝つための秘策はあるのか? 中小企業の戦略と、大企業の戦略について考えてみる
日本の製造業が世界に打ち勝つための秘策はあるのか? 中小企業の戦略と、大企業の戦略について考えてみる はじめに――「日本の製造業は終わった」って、本当ですか? 「日本のものづくりは、もう世界に勝てない」 この言葉、何回聞いたかわかりません。 家電で負けた。 半導体で負けた。 スマホでも負けた。 次はEVでも負けるらしい。 ニュースを眺めていると、そんな悲観論ばかりが目に入ってきます。 でも、私はあるデータを見て、考えが変わりました。 2025年の日本の輸出額は、約110兆円。 比較可能な1979年以降で、過去最高です。 「終わった」はずの国が、史上最高額を輸出している。 この矛盾は、いったい何なのでしょうか。 答えを先に言ってしまうと、日本の製造業は「見える場所」で負けて、「見えない場所」で勝っているのです。 あなたのスマホにも、テスラのEVにも、最新のAIチップにも。 日本製の部品や素材、日本の装置で作られた何かが、必ず入っています。 見えないだけで、消えてはいない。 そして、その「見えない勝ち方」の中にこそ、これからの秘策が隠れています。 今回は、政府の白書や最新の貿易統計など、公開データを丹念に拾いながら、①日本の製造業の本当の現在地、②大企業が取るべき戦略、③中小企業が取るべき戦略、この3つを徹底的に考えてみたいと思います。 18,000字の長旅になりますが、読み終わる頃には、ニュースの見え方が変わっているはずです。 それでは、始めます。 第1章 データで見る、日本の製造業の「本当の現在地」 悲観論の前に、まず数字を見よう 議論の土台として、最新のデータを並べます。 経済産業省などがまとめた「2025年版ものづくり白書」と、財務省の貿易統計から、重要な数字を拾ってみました。 ①製造業は日本のGDPの約2割を占める、日本経済最大級の柱 ②製造業の一人当たり名目労働生産性は2013年以降上昇を続け、2023年には全産業平均の約1.3倍に到達 ③製造業の営業利益は2024年に回復し、20兆円台に到達(10年前の約1.5倍の水準) ④製造業の就業者数は2024年で1,046万人 ⑤2025年の日本の輸出総額は110兆4,480億円で、過去最高を更新 どうでしょうか。 「衰退産業」と呼ぶには、あまりにも立派な数字が並んでいませんか。 GDPの2割を稼ぎ、1...