地元の特徴を活かしたアクション小説の書き方考察
地元×アクション 設計メソッド
0) 基本式
地元性 = 舞台ギミック(地形・制度・文化) × 感情利害(主人公の個人的賭け金)
→ 地面が勝負を左右し、勝敗が街の未来に刺さる構図に。
1) 5ステップ設計フロー
-
固有資源の棚卸し
地形(海・川・坂・雪)、インフラ(駅ナカ・商店街アーケード・温泉配管・工場ライン)、時制(通学ラッシュ・祭・台風季)、群衆(観光客・漁協・地元サポ)、制度(立入禁止・入湯税・漁業権)、産業(造船・農業・温泉宿)、伝承(城跡・妖怪・地名の由来)。
→ “ここにしかないTOP3”を選定。 -
対立をローカル化
例:再開発 vs 祭の存続/漁場争い/観光客増で救急が逼迫 等。 -
セットピースを地図に置く
A・B・Cの3箇所(高低差/直線距離/逃げ場)を線で結ぶ。
「入口→狭窄→開ける→高所→閉所→象徴物」のリズムが強い。 -
環境を“道具化”
ロープ、手すり、雪の壁、温泉の湯気、踏切、シャッター、堤防、御神木…を武器/障壁/タイマーに変換。 -
アフターマス設計
壊れた提灯、曲がった鳥居、散ったのぼり旗…“痕跡”が街に残ると読後感が刺さる。
2) セットピースの内部構造
[導入口] → [地形トラップ] → [ローカル道具] → [群衆/ルール] → [位置の反転] → [象徴で決着]
-
読者の方向感覚を守る:ランドマーク反復(灯台、駅ビル、山稜線)、東西南北、時刻アナウンス、音(踏切・打鐘)。
-
“象徴で決着”:港なら係船柱、温泉街なら桶・下駄、雪国なら除雪車/消雪パイプ。
3) ロケタイプ別アイデア見本
港町
-
ギミック:係船ロープ、フェンダー、濡れたスロープ、堤防の消波ブロック。
-
タイマー:潮の満ち引き/出港ベル。
-
クリティカル:ロープでスイング、クレーン荷の振り子、漁協無線で情報戦。
温泉街
-
ギミック:湯けむりで視界遮断、玉砂利の下駄音、源泉配管の弁。
-
タイマー:夜の“外湯巡り”行列が途切れるまで。
-
クリティカル:手ぬぐいで関節固定、桶で受け流し、足湯で体力回復(比喩)。
雪国
-
ギミック:圧雪/新雪/アイスバーンの三層、屋根雪の落下、消雪パイプ水柱。
-
タイマー:ホワイトアウト接近または最終列車。
-
クリティカル:スノーダンプ盾、除雪車ブレードでスライディング、融雪槽の湯気で姿隠し。
下町商店街(アーケード)
-
ギミック:シャッター、のぼり旗、アーケード梁、カゴ台車。
-
タイマー:閉店シャッター一斉降下。
-
クリティカル:提灯スイング、業務用ミストで撹乱、福引ガラガラの玉で足止め。
工業地帯/造船所
-
ギミック:天井クレーン、トロリー、配管バルブ、スパッタ火花。
-
タイマー:ライン停止まで○分、圧力限界。
-
クリティカル:クレーンで足場移動、非常停止で相手の足を奪う。
山城跡/神社
-
ギミック:急階段、石垣の武者走り、鳥居、鈴縄。
-
タイマー:宵宮の神事開始。
-
クリティカル:鈴縄ターザン、石段を“斜め”に落とす角度取り、境内の結界(立入線)を心理トラップ化。
駅ナカ/ベッドタウン
-
ギミック:改札、可動ウォーク、ホームドア、連絡通路の曲がり。
-
タイマー:発車ベル&終電。
-
クリティカル:ICカードで改札突破 vs 現金派の足止め、エスカレーター逆走の賭け。
離島
-
ギミック:風向き、断崖、集落の “見通しの良さ”、フェリー時刻。
-
タイマー:干潮の“道”が消える。
-
クリティカル:サバニ/カヌー、集落放送の拡声器で嘘情報。
4) チェイス設計:三つのレーン
-
速いが危険(屋根・堤防上・線路脇)
-
安全だが遠回り(生活道路・回廊)
-
奇策(地下道・配管・裏庭)
8ビート例:発見→初速→狭窄→突破→高所→視界遮断→位置反転(追う/追われる逆転)→象徴決着。
5) 方言・文化の入れ方(盛りすぎ注意)
-
方言は掛け声/命令/罵倒に限定するとテンポを壊しにくい。
-
呼称の地元ルール(先輩のあだ名、地名の略称)で関係性を一撃提示。
-
ステレオタイプは避け、役割と言動の具体で魅せる(漁協の段取り、祭の統率)。
6) 五感ショートリスト(即使える語彙)
-
音:踏切の二連打、港の金属軋み、温泉の湯が鳴る。
-
匂い:潮気+ディーゼル、焙じ茶と線香、融雪剤の鉄臭。
-
触:濡れたスロープの微細な藻、玉砂利の刺し、凍てた手すり。
-
光:提灯の橙、青い作業灯、雪面の散乱光。
7) 章立てテンプレ(6〜8章)
-
地元帰還/日常と象徴の提示
-
事件点火(ローカル利害が火種)
-
セットピースA(追走1:地元の洗礼)
-
捜索・準備(協力者は“地元の顔”)
-
セットピースB(中ボス&“街を壊す”代償)
-
真相対峙(利害の核心は地元制度)
-
決戦C(象徴物で決着→街に痕跡)
-
余韻(祭は続く/工場は再稼働/港に朝が来る)
8) よくある事故を回避
-
“どこでもできる屋上バトル”連発
-
地元民がしない動線(無駄な車移動、混む道をわざわざ)
-
交通/施設ルール完全無視(最低限の言い訳を台詞で入れる)
-
地形説明が冗長でテンポ死 → 行動で説明(滑る→転ぶ→掴む)。
9) ミニ・サンプル(港町セットピース 7行)
出港ベルが三度鳴る。濡れたスロープで足を取られ、敵はフェンダーを蹴って跳ねた。
僕は係船ロープを掴み、潮の重さごと身体を振る。
視界を切るのは、網と水しぶき。
堤防の上、漁協無線が「出るぞ」と叫ぶ。
相手が飛び移った瞬間、クレーンの荷を解放――振り子が進路を塞いだ。
ロープが掌を焼く。潮が満ちていく。
最後は係船柱に手錠。ベルが止み、波が寄せた。
10) ワークシート(埋めて使って)
-
地元TOP3資源:__/__/__
-
ローカル利害(何を巡って誰が対立?):__
-
象徴物(決着に使う):__
-
セットピースA/B/C(場所と“タイマー”):
-
A:__(タイマー:__)
-
B:__(タイマー:__)
-
C:__(タイマー:__)
-
-
協力者“地元の顔”と報酬:__
-
章7で街に残る痕跡:__
必要なら、あなたの“地元”情報を少し教えてくれれば、このフレームに合わせて専用セットピース3本と章立てを即組むよ。オタク的に盛る準備はできてる🔥
コメント
コメントを投稿