アメリカの小説トレンド(2025年末時点)――「読者が求める快楽」が市場を動かす
アメリカの小説トレンド(2025年末時点)――「読者が求める快楽」が市場を動かす
アメリカの小説市場は、「文学的に新しいもの」だけでなく、読者の感情を強く揺さぶる“読み味”がトレンドを決める局面が続いています。とくに2025年は、データ面でも話題面でも、ロマンス/ファンタジー(ロマンタジー)/スリラーが強く、さらに音声(オーディオブック)と映像化が“勝ち筋”を押し上げています。 Circana+2Publishing Perspectives+2
以下、具体的に「何が伸びているか」「なぜ伸びるか」「書き手はどう取りに行くか」をブログ向けに整理します。
1. 最大潮流はロマンス。「ロマンタジー」と「スポーツロマンス」が爆伸び
米国の印刷書籍データ(Circana BookScan)では、2025年の成長領域としてロマンスが最も伸びているとされ、内訳でもロマンタジー(romantasy)とスポーツロマンスが“3桁成長”と報告されています。 Circana
また、出版社側の季節プレビューでも「ロマンタジー、パラノーマル、スポーツロマンス」の厚みが明確です。 PublishersWeekly.com
何が読者に刺さっているのか(要点)
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大きい感情曲線(高揚・葛藤・カタルシス)
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トロープ消費(敵対→恋、禁断、偽装恋人、再会などを“狙って読む”)
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シリーズ化前提の中毒性(続刊で回収する設計)
ロマンス領域では「ハッピーエンドの安心」だけでなく、感情の落差を強めた作風も注目されています(業界側のトレンド観測として)。 PublishersWeekly.com
2. “ダーク化”が進行:ダークロマンス/心理スリラー/ホラーが並走
Circanaの分析では、ロマンスの中でもダークテーマの伸びが示され、周辺ジャンルとして心理スリラーやダークファンタジー、ホラーなども成長セグメントとして言及されています。 shelf-awareness.com+1
ここ数年の米国読書の気分は、「現実が不安定なほど、フィクションには強い刺激か、強い癒やしか」が二極化しやすい。その“刺激側”の受け皿がダーク系です。
3. ファンタジーは「ロマンタジー」と「コージー」で裾野が拡大
ファンタジー自体の勢いは継続しており、その牽引役としてロマンタジーと並んで、**コージー・ファンタジー(癒やし系ファンタジー)**が定着しています。たとえば Legends & Lattes のような作品は「心地よさ」を前面に出した潮流の代表例として、業界紙でも扱われています。 PublishersWeekly.com+2PublishersWeekly.com+2
2025年のサブトレンドとしては、BookTok由来の流れも含め、**“女騎士(Lady Knight)”**のようなモチーフがまとまって現れる現象も観測されています。 PublishersWeekly.com
4. YAは「明るい」「暗い」を行き来し、やはり“逃避”が強い
YA(ヤングアダルト)は、編集者・エージェントの観測としても、ロマンス×異世界的舞台やファンタジーの陰謀・裏切りなど、読者の“逃避”需要に強く支えられていると整理されています。 PublishersWeekly.com
5. オーディオブックが「売れ方」を変える(米国は特に強い)
音声市場は米国で引き続き拡大しており、Audio Publishers Associationの調査では、2024年の米国オーディオブック売上が22.2億ドル、前年比13%増、売上の99%がデジタルとされています。 Homepage+1
これは作家側にとって、
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“耳で映える”文体(テンポ・会話・章の引き)
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シリーズでの継続聴取
がますます重要になる、という意味です。
6. 映像化・配信がジャンルの追い風に(ロマンスは特に)
近時の具体例として、ホッケー×クィアロマンスが配信で話題化し、原作シリーズの売れ行きを押し上げたケースが報じられています。 Vanity Fair+1
「書籍→映像→書籍に回帰」という循環は、米国ではロマンス周辺で特に起きやすい構造です。
7. “二次創作(ファンフィク)出身”が主流側へ:発掘コストの最適化
2025年の大きい話題として、ファンフィク由来作品が商業の中心へ入ってくる流れが紹介されています。既存ファンダムとSNS拡散(BookTok等)を土台にできるため、出版社側にも合理性があります。 People.com
8. 自費出版→口コミ→大手が権利取得、という“逆流”も健在
「まず自分で出して、読者が見つける」ルートが米国で機能する例として、シニア層の口コミ(Facebookなど)で伸び、大手が権利取得に動いた事例も報じられています。 The Washington Post
9. 検閲・禁書の動きが、流通(学校・図書館)に影響
米国では学校図書館等での禁書が社会問題化しており、PEN Americaは2024–2025学年の傾向を「ランパント(蔓延)」と表現し、ALA(米国図書館協会)も組織的圧力の増加を報告しています。 PEN America+1
これは「何が売れるか」だけでなく、「どこで読まれるか(学校・図書館・自治体)」にも影響し、ジャンルや題材選定の意思決定要因になり得ます。
まとめ:2025年の米国小説トレンドは「強い感情 × 拡散装置 × マルチフォーマット」
キーワードを一行でまとめるなら、こうです。
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ロマンス覇権(ロマンタジー/スポーツ/ダークが強い) Circana+1
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ファンタジーは二極化(熱狂のロマンタジー/癒やしのコージー) PublishersWeekly.com+1
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オーディオが“売れ方”を規定 Homepage+1
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映像化とSNS(BookTok等)が加速装置 People.com+1
日本の書き手が「米国トレンド」を取り入れるなら(実務3点)
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“感情曲線”を設計図にする:章ごとに上げ下げを作り、終盤で回収
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トロープを明示し、冒頭で約束する(タグ/あらすじ/導入の型)
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音声・連載・シリーズを前提に設計:1巻完結より“次が欲しくなる終わり”を作る
必要なら、あなたの作風(現代幻想、ミステリ、恋愛、郷土要素など)に合わせて、**米国トレンドの要素を“日本市場向けに変換する企画案(3〜5本)**まで具体化します。

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